サイトでこんな実験しています―Web コンシェルジュのノウハウ取得術
【執筆者】 Webコンシェルジュ 杉山雅春(初出:2009年9月3日)
株式会社デジタルフォレスト Web コンシェルジュ、杉山です。
Web サイト改善のノウハウは机上の知識だけでは蓄積できません。デスクに本を十数冊も積み上げている風景を良く見かけますが、ただ本を読んだだけで行動が伴わなければ Web サイトは何も変わりません。
日々状況が目まぐるしく変わる情報社会において、過去に書かれた知識がどれほど有効なものなのかは疑問でしょうし、業種やサイトの目的によってどういった値を計測して、どう改善していくのかは様々です。Web サイトの改善にあたり最も有用なノウハウは、その Web サイトで様々な施策を実施した結果の中にこそ存在しています。
当コラム第7回目の今回は、普段 Web コンシェルジュ達が改善対象の Web サイトに於いてどのような検証や実験を日々繰り返しているのか。今回はその一部をご紹介したいと思います。
・導線変更(テキストやバナー、配置など)
ページ内のクリック率を計測することで、どういった種類、配置、内容の導線が有効に機能しているかを分析します。テキストやバナー文言で惹きが強かったと思われるワードに関してはクリック数(率)などと共に履歴を残し、次回以降に活かせるようにします。配置に関しては上下左右の他、何スクロール目にあるかも要チェック事項です。
・画面を切り替えての AB テスト
単一ページに複数のリニューアル案を用意し、いずれのページが訪問ユーザーにとってより機能するページであるかを実験します。例えば新しく2種類のフレームによるリニューアル案A・Bを用意し、それらを新規ユーザー(※)に対し5~10%程の表示率で見せるようにします。1~2週間程の数値を蓄積し、各ページの直帰率、クリック率、滞在時間、遷移先などから、成功点・課題点を把握します。
※リピートユーザーは既存サイトに慣れており実験結果にぶれが生じやすいため、新規ユーザーでテストするのが望ましい。
・ランディングページの作成、キャンペーンの開催と検証
特定のターゲットや集客ルートに応じたランディングページを作成し、誘導対象となる下層ページへの遷移率に違いが見られるかを検証します。その他にも、進入ワードや進入元ドメイン、直帰率の変化もノウハウとして蓄積します。またキャンペーンページも同様に上記の数値を検証すると共に、開催時期やターゲット、キャンペーンメリット、コンバージョン到達状況などを分析して次回開催キャンペーンの参考とします。
・出稿媒体比較
広告出稿媒体や内容に関して費用対効果を満たしているかを効果検証します。媒体別にコンセプト、対象者、出向期間、出向時の原稿内容、クリック数、クリック率、バナーデザインはどうだったかなど。表示率や出稿サイズ、他広告と比較した際の露出の軽重、掲載ページの階層、広告進入後の直帰率やコンバージョン率など、継続的に細かく情報を蓄積して効果的な広告の傾向を把握したいところです。
・検索順位モニタリング&修正
主に SEO 施策の実施前後で特定キーワードに於いて検索時に自社ページの検索結果表示状況をチェックします。ページ内テキストや html ソース部分への SEO 施策実施後は特に定期チェックの頻度を上げ、効果の早期把握に努めます。※万が一検索順位が大幅に悪化した際の修正を迅速に行えるようにしたいところです。
また、施策実施後は効果が現れるまで多少の時間を要するため、あまり頻繁には変更しないようにします。特定ワードでの訪問が増加した際には進入ワードでの直帰率やコンバージョン状況を分析することで集客ワードとして相応しいか、ランディング先として適切かも改めて検証すると良いでしょう。
・ユーザビリティテスト(例えば数ページ、フォーム限定など)
実際に数名のユーザーにページを閲覧して頂き、離脱しやすい場所やストレスを感じる場所、使い勝手が悪い場所、説明不足で迷う場所などを総合的に洗い出します。ユーザーリテラシーや対象ターゲット、テスト範囲の選定など、テストに際し細かく設定して実施する必要がありますが生のユーザーの声が聞けるため極めて効果的です。テストの範囲はトップページから特定コンバージョンルートや資料請求の入力フォーム部分など、予算と目的に応じて設定します。
これらの施策実施に当たっては無駄な制作費用や人件費をかけないよう、施策の妥当性を定量的に判断した上で実施しています。期間前後で比較するためには曜日や日数、集客施策(広告有無など)を可能な限り同一にするなど、条件を揃えて実施します。制作費用やページ毎の売上、分析工数などを費用対効果の検証に含めるケースも多くあります。
データを蓄積するだけでなく、PDCA を細かく回して改善を続けることが重要
細かいお話になりましたが、個人・法人を問わず様々な業種のサイトで様々な施策成果の検証とデータの蓄積によりノウハウが構築されています。上に挙げたのはごく一部。日々色々な視点で新しい分析の観点を模索しています。
Web サイトは生き物です。ひとたび施策を投じ効果検証しても時間が経てば傾向も変わり新しい課題点が見えたりもします。重要なのは定量的な情報に基づき細かな改善アクションを実行し、その結果を検証して次の施策へ繋げていくこと。その PDCA サイクルを回し続けることです。
地道な作業の繰り返しですが、意図通りに数値が上がり PDCA サイクルが上手く回り始めると改善アクションを考えるのが次第に楽しくなってきますよ。ただし、分析が目的にならないようご注意を!Web サイトを改善し、目標を達成して対価(=報酬)を得ることが私達にとって最も重要なことであることを忘れずに…。


